思い出
私がまだちいさかったころ、とても広い公園でゾウさんに会ったの。
きっと、お母さんゾウとはぐれたかわいそうな子ゾウよ。
いつも公園にいるネコさんや鳥さんたちと仲良くしていたわ。
木の枝を鼻にくわえて砂場に絵を描いてくれたの。
イチゴやリンゴにバナナにヨットや飛行機なんかよ。
きっと、ふるさとの食べ物と風景だったんだわ。
きっと、お母さんも動物園からぬけだしてさがしたから、
きっと、会えたにちがいないわ。
きっとよ。
「象」の正体
このところのゾウはコトバを発しないから、
子供らは疑いながらも本当のゾウだと信じている。
園芸支柱と竹ひごに布切れが無造作に縫い付けてあるだけなのに。
どこからきたの。
山からきたの。
おかあさんとはぐれたの。
動物園に帰れなくなってしまったの。
おやつを分けてくれる子がいる。
水をくんでこようかと言う子もいる。
地面に描いたゾウの付けている流れ星の飾りの絵を、
ゾウが見てくれなかったと言って泣いてしまった女の子がいた。
ゾウとの別れをいつまでも惜しんで目を赤くしている子もいた。
人間が入っているに違いないと言いながら、何故こんなことをしているのか不思議がる子もいる。
「もう三度目よ私の顔おぼえてる」と言う子がいた。
ゾウ? ゾウさんだよね? 本物だよね?
ゾウの瞳には小豆ほどの青いカットガラスがいくつか縫い付けある。
ゾウの鼻には穴がなく滑り止めのメッシュシートが張り付いているだけ。
足にはウレタンクッションが爪代わりにしがみついている。
怖くて見ることができない子がいる。
怯える老人がいる。
集団記念撮影をする人たちがたくさんいる。
オレンジを口に入れてくれた婦人に会った。
さきイカをくれた子供がいた。
クチズケをしてくれた園児がいた。
おしりが気に入ってくれた人がいた。
ショウタイを見せろと言う園児がいた。
正体は私です。
子供らは疑いながらも本当のゾウだと信じている。
園芸支柱と竹ひごに布切れが無造作に縫い付けてあるだけなのに。
どこからきたの。
山からきたの。
おかあさんとはぐれたの。
動物園に帰れなくなってしまったの。
おやつを分けてくれる子がいる。
水をくんでこようかと言う子もいる。
地面に描いたゾウの付けている流れ星の飾りの絵を、
ゾウが見てくれなかったと言って泣いてしまった女の子がいた。
ゾウとの別れをいつまでも惜しんで目を赤くしている子もいた。
人間が入っているに違いないと言いながら、何故こんなことをしているのか不思議がる子もいる。
「もう三度目よ私の顔おぼえてる」と言う子がいた。
ゾウ? ゾウさんだよね? 本物だよね?
ゾウの瞳には小豆ほどの青いカットガラスがいくつか縫い付けある。
ゾウの鼻には穴がなく滑り止めのメッシュシートが張り付いているだけ。
足にはウレタンクッションが爪代わりにしがみついている。
怖くて見ることができない子がいる。
怯える老人がいる。
集団記念撮影をする人たちがたくさんいる。
オレンジを口に入れてくれた婦人に会った。
さきイカをくれた子供がいた。
クチズケをしてくれた園児がいた。
おしりが気に入ってくれた人がいた。
ショウタイを見せろと言う園児がいた。
正体は私です。

































































